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奥御前三神殿 新宮神社 熊野恵比須神社 熊野稲荷神社 八咫烏神社 手力男神社
(摂社)神倉神社 (末社)貴祢谷神社
10月15日・16日
お燈祭(2月6日) 扇立祭(7月14日) 神馬渡御式同お旅所神事(10月15日) 神輿渡御式・御船祭・同お旅所神事(10月16日) 釿始式(1月4日) 特殊神饌・かがり御供神饌(2月6日) 特殊神饌・おみたま神饌(10月15日・16日)
〈国宝 神像 熊野速玉大神坐像・熊野夫須美大神坐像・家津美御子大神坐像・国常立命坐像 彩絵桧扇 玉佩 他、国宝古神宝類312点(内容品1,204点)〉 〈国・指・重文 伊邪那岐神坐像 他、神像3体 髹漆金銅装神輿・同朱塗神幸用船 他、4点〉 〈国・指・天然記念物 神木 梛〉 〈県・指 入峯の斧 三ッ口釜 永正十一年在銘御正体 鉄斧〉 〈県・指・史跡 神倉神社の石段及社叢〉 〈県・指・有形民俗文化財 釿始儀式具〉 〈県・指・無形民俗文化財 神倉お燈祭 神馬渡御式 神輿渡御式 御船祭〉 〈市・指 絹本著色薬師三尊像 熊野懐紙模本 速玉大社棟札 紙本著色新宮本社末社図〉 〈市・指・天然記念物 オガタマの木 ボウラン〉 〈市・指・有形民俗文化財 神倉神社の手水鉢・同手水船 奉八度参詣碑〉
本殿(木造銅板葺熊野造 30㎡) 上三殿(木造銅板葺流造 88㎡) 八社殿(木造銅板葺流造 60㎡) 拝殿(鉄筋コンクリート造 78㎡) 大禮殿(鉄筋コンクリート瓦葺入母屋造 500㎡) 参集殿(鉄筋コンクリート造 140㎡) 双鶴殿(木造瓦葺 350㎡) 熊野神宝館(鉄筋コンクリート造瓦葺 265㎡) 宝庫(木造瓦葺寄棟造 86㎡) 授与所(木造銅板葺入母屋造 48㎡) 大鳥居(鉄筋コンクリート造 権現鳥居)
本社33,000㎡ 摂社神倉神社66,000㎡ 境内山林220,000㎡ お旅所5,000㎡
相筋 御幸 大王地 神倉 千穂 丹鶴区
当大社は、熊野三山のひとつとして、本宮、那智とともに全国に祀る数千社の熊野神社の総本宮であり、熊野信仰の中心として世に名高い古社である。
主祭神として、熊野速玉大神(イザナギノミコト)、熊野夫須美大神(イザナミノミコト)を祀り、平安初期に現在の十二社殿の形態が整い、新宮十二社大権現として尊崇を集めている。
平成16年7月7日、世界文化遺産に登録される。
熊野権現垂跡緑起によると「熊野新宮乃南農神蔵峯降給、次六十一年庚午年、新宮乃東乃阿須賀乃社乃北、石淵乃谷仁勧請静奉津留、始結速玉家津美御子登申二宇社他」とあり、初めは現在仰ぎ見る12社殿並立の御社頭ではなく、結(夫須美)、早玉(速玉)、家津美御子命を2社殿に奉斎していたことがわかる。
速玉は映霊で、イザナギノミコトの映え輝くばかりの力強い神霊の意で、夫須美はイザナミノミコトの万物を産み成し、幸へ給う女神としての大神徳を称えた御名である。
さらに熊野年代記には、景行天皇58(128)年戌辰(約2,000年前)に「熊野新宮建」とあり、熊野年鑑には「景行天皇五十八(128)年 春三月起熊野鎮座地宮殿 是号新宮」、水鏡には「景行天皇五十八(128)年二月、くまのの新宮はこの御時にはじまりたまへりし」とあり、紀伊続風土記では「神倉山に其侭跡を止め給へる景行天皇の御世、今の新宮に遷し奉れり」と記している。
以上のことから考察すると、先づ熊野三山の中心となる早玉・結・家津美御子と申し上げる3柱の神々が、神代の頃に神倉山に降臨せられ、景行天皇の58(128)年に新しく境域、社殿を現在の鎮座地に築営して御奉遷申し上げたものと考えられる。
つまり旧社地の「神倉」に対して新しく宮居を築かれたので「新宮」と号したことが、種々の古文書において明らかにされており、本宮に対する新宮とする解釈は誤りであることが明記されている点は、特に注目される。
つまり、熊野三山の間には本社、末社の関係はなく、熊野神が最初に降臨せられた神倉神社が、元宮としての性格を有しているといえる。
延喜式神名帳には「紀伊国牟婁郡熊野早玉神社」とあり、式内大社として極位を授けられ、長寛勘文には「天慶三(940)年三月一日熊野早玉神授正一位」と記している如く、極位を授けられており、また孝謙天皇より「日本第一大霊験所」の勅額を賜り、熊野三山の中でも逸早く「熊野権現」の称号を賜った。
【三山三世信仰と熊野御幸】
奈良朝末期に至って本地垂迹説の流布にともない、当大社は早くからその影響を受け、熊野速玉大社は、衆生の苦悩、病気を救済する薬師如来(過去救済)、熊野夫須美大神は現世利益を与える千手観音菩薩、家津美御子大神は来世浄土へ導く阿弥陀如来として位置づけられ、熊野比久や比久尼によって熊野権現信仰は飛躍的な拡がりをみせ、青森から沖縄まで文字通り全国に幅広く浸透して、数千に及ぶ御分社が祀られるに至った。
更に中世、熊野信仰の興隆に伴い、皇室を始め奉り、公卿、武士、庶民に至るまで熊野詣が盛行し、過去救済、現世利益、来世加護を説く三熊野詣こそ、滅罪・甦りへの道であるとして、蟻の熊野詣の諺の如く熊野街道は賑わったのである(三山三世信仰)。
特に宇多院から亀山院までの約400年の間に、紀伊續風土記には75度、「熊野三山経済史」には106度、和歌山県聖蹟によると103度、女院、法親王、姫君をあわせると、実に140度に余る行幸啓を賜っており、世にこれを「熊野御幸」と呼び、熊野の歴史にかけがえのない光彩を放っている。
【国宝古神宝類】
歴代の朝廷から賜った宝物は、内容品を計上すると1,200点以上の国宝古神宝類となり、三山はもとより、全国屈指の質量を誇り、熊野神宝館及び各国立博物館で保存展示されている。
蒔絵手箱、彩絵檜扇、玉佩、挿頭華、装束など、中世の美術工芸史に欠くことのできない古神宝ばかりで「熊野の正倉院」とよばれる所以である。
尚、御本殿はじめ各神殿に安置されている古神像7体は、いずれも桧の一木造り彩色坐像で、明治31年の保存修理を機に、御神体と依代であった御神像が分けられ、戦後と平成19年にも保存修理が行なわれている。
古美術、学問上香り高い遺品として、明治30年国宝に、昭和25年8月29日には重要文化財の指定を受け、平成17年6月には、熊野速玉大神坐像、熊野夫須美大神坐像、家津美御子大神坐像、国常立命坐像の4体が国宝に再指定されている。
とりわけ、熊野速玉大神坐像は、中老の相で正一位の宝冠を頂き、袍をつけ、正座の御姿で、威厳に満ちた中にも、慈相の漂う風格をもった、世に稀な神像である。
平安初期の作で松尾大社の神像についで、我国で2番目に古く、大きさは日本最大、熊野夫須美大神像とともに美術上からも香り高い第一級神像である。
【御神木 梛】
当大社の御神木「梛」は平 重盛公お手植と伝わり、高さ20m、幹廻り7m、日本最大の梛の木である。
なぎは凪に通じ、海上安全、現世安穏・良縁結びの信仰厚く、熊野詣を志す者は、先づこの葉を懐中に納め、道中安全の印にする事を慣例としている。
また、嫁に行く娘の鏡の裏や笥の中にこの葉を忍ばせ、無事に添いとげられるように祈ったものという。
この古事に基き、梛の一葉を求めて神木の周りを探す信奉者があとを絶たない。
【例大祭】
10月15日・16日は、市を挙げて例大祭・新宮祭が行なわれる。
大祭前日、神馬が大浜海岸に出向き潮浴びを行い、阿須賀神社にて豆を食む「豆献ジノ儀」、串本町大島区からの「掛魚萱穂奉献ノ儀」が執り行なわれる。
15日は「御本殿大前ノ儀」に続いて、無形民俗文化財「神馬渡御式」が斎行され、熊野速玉大神の神霊を神馬に奉安、威儀物、神官、供奉員200名を従えてお旅所へ渡御する。
お旅所では「杉ノ仮宮」と呼ばれる仮の御殿に奉遷の後、神楽奉奏、松明の明かりに灯される中、掛魚、神酒、「オミタマ」と呼ばれる特殊神饌を供えて、古儀な神事が行なわれる。
この「神馬豆献ジ」の儀式と、「杉ノ仮宮」は、8世紀当大社から分霊された岩手県室根神社の例祭に伝承されており、下北半島の「熊野権現舞」とともに、東北地方に於ける熊野信仰の伝播を知る上で実に貴重である。
翌16日は、熊野夫須美大神の大祭で、神輿渡御式・御船祭が行なわれる。
神輿にて市内渡御の後、熊野川原に到着、朱塗り神幸用船に神霊を遷御、これを合図に9区から出船した早船が2㎞上流の御船島を3回廻って勝敗を争う。
その後を御幣を立て、管絃を奏しながら、斎主船、諸手船に曳かれた神幸船が同じく御船島を3回廻ってお旅所に向かう。
9隻の早船が一度に出船する船渡御として全国に類例なく、1,800年以上の伝統を有す。
【その他の特殊神事】
(扇立祭)
7月14日、午後5時半から斎行。
国宝の檜扇を本殿以下各殿に飾り立てる。
扇の語源は「招ぐ」で、依代としての神扇を通して参拝する。
(お燈祭)
2月6日夜斎行される摂社神倉神社の例大祭。
白装束に身を固め、松明を持った2,000人の上り子(祈願者)が、源 頼朝公寄進の鎌倉造りの自然石を積み上げた急峻な石段を駆け降りる。
全国に伝わる火祭の中でも最も躍動感溢れる炎の禊神事として有名である。
【熊野絵解き】
中世、熊野比丘尼が全国に持ち歩いて熊野信仰を広めたという「熊野観心十界曼荼羅」の絵解きを宮司が御奉仕している。
【古歌にみる熊野詣の心】
梁塵秘抄「熊野へ参るには 紀伊路と伊勢路とど近しどれ遠し 廣大慈悲の道なれば 紀伊路も伊勢路も遠からず」。
後鳥羽天皇御製「よをてらす 影とおもへば熊野山 山のかひある 行未もかな」。
検校法親王(土御門天皇の皇子)「なぎの葉に みがける露の速玉を むすぶの宮や 光そふらん」。
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